COLUMN
法人生命保険は保険証券を分けて契約しましょう!
法人生命契約を活用する際は、保険証券の分割について検討しておくことをオススメします。
経営者やキーパーソンを被保険者にして、定期保険や終身保険といった死亡保障の商品を法人で契約する場合には、保険証券の分割は必ず検討しておくべきです。
●目次
保険証券の分割とは?
保険証券の分割とは、たとえば保険金額1億円の生命保険に加入する際、保険金額1億円を1証券で契約をするのではなく保険金額1,000万円を10契約に分けるイメージです。
証券分割のデメリット
証券分割におけるデメリットは、保険会社各社が設定している保険金額に対する保険料の高額割引が適用出来なくなるか、適用出来る割引率が変わるために1億円1本の契約と1,000万円×10本の契約では、1,000万円×10本の契約の方が保険料は高くなる場合があります。
保険料が割高になるということは、解約返戻金があるタイプの場合には解約返戻率の低下につながります。
なお保険料の高額割引の適用については、保険会社と保険商品によって取扱が異なりますので、加入を検討されている保険会社へお問い合わせください。
その他のデメリットとしては、当然ながら保険証券を分割するために、申込書の署名捺印が分割する本数分、必要となりますので契約時の手間は増えます。
ただこれらのデメリットを踏まえても経営者やキーパーソンを対象にする法人契約においては保険証券を分割しておくことによるメリットの方が大きいです。
次に保険証券分割のメリットを解説します。
証券分割のメリット
その①契約後の対応力が高まる
保険金額の減額は各保険会社において普通に出来ますが、保険会社によっては減額した金額を他保険に変換する一部返還の機能があります。この一部変換の機能がない保険会社であれば保険証券を分割しておくことで、一部変換とほぼ同じ機能が使える様になります。
さらに保険証券を分けておくことで、経営状況や資金繰りなどを踏まえて一部契約だけを払済保険へ変更したり、一部契約だけ保険期間や払込期間の変更などを行うことでより機動的な保全が可能になります。
あとは保障が不要になった場合、一部契約を契約者変更することで他法人や個人へ保障機能を移すことも出来ます。(契約者変更については当然ながら経理処理が必要になるケースもありますので、その点はご留意ください。)
特に解約返戻金がないか、あってもごくわずかな保険期間が短い定期などは、機動的に契約者変更が出来ますので、法人を幾つか経営している経営者にとっては生命保険の使い勝手が高まります。
その②保険金支払時に威力を発揮
保険金の受取方法は、一時受取と年金受取があります。さらには保険金一時受取と年金受取を併用出来る保険会社も多くあります。
実際に法人契約の生命保険で、被保険者である経営者の死亡に伴い保険金を受取る際、借入金返済用に一部を一時金で受取り、残りは年金受取にして、次年度以降の運転資金に回したいというニーズがあります。
一部一時金一部年金の保険金受取時の経理処理については、国税庁より生命保険協会に通知した事務連絡において、一時金受取時に保険金全額を益金計上とし、年金受取部分については未収金計上とする経理処理をすべきという見解が示されています。
この益金計上は証券分割をすることで、保険金請求時に一時金で保険金を受取る証券と年金払いで受取る証券を分けることで回避することができます。
さらに保険金支払時期を繰り下げることができる保険会社であれば、一括で受取る契約・年金で受取る契約・受取時期を繰り下げる契約などを保険証券ごとに分けることで、法人における資金繰りをコントロールすることが可能になります。
※ちなみに保険金据置については、保険金支払が決定し、据置にした時点で、年金証書が発行されますので、法人においては据置をした時点で益金計上が必要で、保険金支払の繰り下げは、繰り下げをした保険金を受取る時点で益金計上となり、繰り下げした保険金を年金支払特約で受け取る場合には、保険金受取時点での課税とされています。
特に二つ目に解説をしました保険金受取のコントロールができることを考えますと、法人契約における保険証券の分割は必須であると言えますね・・・
最後に
私は以前から、経営者を被保険者とする法人生命保険については、かなり細かく保険証券の分割を行ってきました。契約手続きをする際は、複数の申込書へ署名して頂く経営者には嫌な顔をされますが(笑)、実際に保全手続きや保険金支払が発生した際には、ほぼ間違いなく「あのときの手続きにはこういう意味があったんですね!ここまで考えてあの手続きをされたんですか!」と感動して頂けます。
法人生命保険で保障が必要な経営者にとっての証券分割は、間違いなく必要な活用法ですので、ぜひとも積極的にご活用ください。
<文責>
株式会社FPイノベーション
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