COLUMN
所得税基本通達36-37の改正に関する解説文公表
7月9日の夕方に国税庁より、今回改定となった所得税基本通達36-37に関する解説文が発表になりました。
原文はコチラです。
<国税庁HP>
特に目新しい情報はありませんが、この解説文の発表により一連の改定作業が終了となりますので、すべて整理をしてみたいと思います。
●目次
対象契約
法人税基本通達9-3-5の2が適用される契約
※ただし書きにある年間保険料30万円以下で最高解約返戻率が70%以下のいわゆる「30万円特例」を適用したものは対象外
30万円特例についてはこちらの記事を参照下さい
※死亡保障と第三分野保障が組み合わさったタイプの保険で法基通9-3-5の2が適用出来る保険商品で、損金処理をせずに全額資産計上としている場合には対象外
契約者変更時における評価方法
契約者変更時点における解約返戻金が資産計上額の70%未満である場合には当該契約の資産計上額にて評価する。
※解約返戻金には前納保険料や未経過保険料・配当金なども含まれる
※払済保険を契約者変更する場合、払済後に復旧が出来る保険商品については、払済処理をした際に計上した損失を加算して評価する
適用時期
2021年7月1日以後の契約者変更において適用する
国税庁の見解
この解説文には所々に国税庁側の見解が盛り込まれていますので、その部分をピックアップしてみます。
・保険契約上の権利の評価は解約返戻金で行うことが原則である。
・ただ低解約返戻金タイプの保険は第三者へ契約者を変更することはあり得ないので、解約返戻金で評価をすることは適切ではない。
・令和元年に制定された法基通9-3-5の2は期間損益の適正化を図る観点から制定されており、低解約返戻期間中は保険契約の時価は資産計上額であると評価出来る。
・低解約返戻期間は、所得税基本通達39-2を踏まえて資産計上額の70%未満とした。
【参考】所得税基本通達39-2(家事消費等の総収入金額算入の特例)
事業を営む者が法第39条若しくは第40条に規定する棚卸資産を自己の家事のために消費した場合又は同条第1項第1号に規定する贈与若しくは遺贈をした場合において、当該棚卸資産の取得価額以上の金額をもってその備え付ける帳簿に所定の記載を行い、これを事業所得の金額の計算上総収入金額に算入しているときは、当該算入している金額が、39-1に定める価額に比し著しく低額(おおむね70%未満)でない限り、39-1にかかわらず、これを認める。
※低解約返戻金タイプの契約を契約者変更をするという事は誰も損をしていないので、棚卸資産の自家消費と同じとみなしてこの通達を出してきたのでは?と解釈しております・・・
・法人間の契約者変更も同じ考え方で今回の通達を適用する
今回の改定により法人契約の生命保険に関する規制はほぼ完成したと思われます。細かい点でまだすべての抜け道が塞がれた訳ではありませんので、今後の動向によっては改定も十分あり得ると思います。
<文責>
株式会社FPイノベーション
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