COLUMN
令和時代の生命保険による退職金積立法
2019年の法基通改定により法人生命保険における税メリットがなくなり、課税繰延効果が縮減しました。
法人における生命保険は節税でないことは説明済みですので省略しますが、保険料支払時(入口)損金にした場合は、保険解約時(出口)で益金となるために、この益金対策として退職金税制のメリットを活用するケースが多くありました。
保険料支払時に支払保険料の全額を損金処理
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保険解約時に解約金の全額を益金処理
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同事業年度に役員退職慰労金を支払い損金処理
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保険解約益を役員退職慰労金で帳消しにする
という一連の流れです。
この場合のデメリットは、保険契約の解約返戻率がピークのときにタイミングよく退職金支給をして損金計上が出来るか?という問題と全額損金計上出来る商品は解約返戻率が低いという2つの問題を抱えていました。
2008年(平成20年)の逓増定期の通達改定と、2012年(平成24年)の終身がんの通達改定により全額損金で支払保険料に対する解約返戻率が100%前後になることが期待出来なくなり、2019年の改定前でも80%後半という返戻率が精一杯の状況でした。
そのため、どうせ退職金税制を活用するなら退職金支給原資である生命保険の返戻率を100%超が期待出来る商品にしておけば、さらにメリットが得られるという考え方です。
保険料支払時に支払保険料の全額を資産計上
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保険解約時に資産計上額の全額を取崩し、解約返戻金が多ければその差額を益金計上、取り崩した資産勘定の方が多ければその差額を損金計上
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同事業年度に役員退職慰労金を支払い、損金処理
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役員退職慰労金の損金額が繰越欠損金となり、翌事業年度以降の益金から差し引くことが出来る
という流れです。
入口損金は、退職金を貰う経営者が損金計上による税メリットを享受できました。これに対して出口損金は、繰越欠損金を引き継ぐ後継経営者が税メリットを享受できることになります。
ただ出口損金のスキームも当然ながら弱点はあります。
最大の弱点は、退職金損金による繰越欠損金を享受するためには、法人が継続してその後も利益をあげる必要があり、経営者勇退にともない事業停止するような場合にはメリットが得られない点です。
※不動産等の固定資産に含み益があればメリットは享受出来ますので、その確認は必要です・・・
これから法人にて役員退職慰労金の積立を検討される場合には参考にしてみて下さい。
<文責>
株式会社FPイノベーション
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