COLUMN

研修医のご子息への理事報酬について

医療法人の理事長から頂くご相談として、「息子(娘)を理事に入れているが役員報酬は幾らぐらいまで支払っても大丈夫か?」という内容が多くあります。

まずこの前提としては、ご子息が医学部生か?そうでないか?という点があります。ご子息が医学部生でなければ、基本は月5万円の年間60万円が基本になると思います。

※基本は大学生以上になります。高校生以下で役員報酬を支払うのはかなりリスキーです。

 

次に医学部生であれば、未成年であっても月20万円くらいは認められている事例もあります。これについては年に数回、帰省をした際に理事会を開いて最新の医療情報を報告させるという実態が必要ですのでこの点はご注意下さい。

 

 さらにご相談を頂く事例として、「息子(娘)が研修医になるが、研修医はアルバイト禁止の規則があるので理事報酬も止めないといけないか?」という相談も多くあります。

 

あまりにご相談を多く頂くので、これについては一度、医療法人運営に詳しい専門家へ質問をしたことがあります。その解答文章をご紹介します。

 

<回答>

研修医のアルバイト禁止を明確にうたった法令はありません。厚生労働省のホームページに掲載されている医師臨床研修に関するQ&Aにも書かれていますが、根拠となる条文は医師法第16条の3「臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。」のみです。

 ちなみに医師臨床研修に関するQ&Aに「臨床研修に関する省令において、臨床研修病院は、届け出た研修プログラム以外の研修プログラムに基づいて臨床研修を行ってはならない」と規定していますが、これはアルバイト禁止の事を書いた文章ではありません。

原文を紹介すると、

「臨床研修病院は、臨床研修病院の指定申請の際に提出し、又は研修プログラムの変更若しくは新設の届出を行った研修プログラム以外の研修プログラムに基づいて臨床研修を行ってはならないこと。」となっており、臨床研修病院が届出た研修プログラム以外をやってはいないと定められた文章です。

厚労省HP

ところが、もう一つアルバイト禁止をうたっている通知があります。それが「医師臨床研修費補助事業の実施に当たっての取扱いについて」という通知です。

厚労省HP

※HP真ん中にある1.08(1)30医事課長通知を参照してください

 

この中に制度の適正な運営に支障があると認められる場合として「エ 研修プログラムに定められていない病院で研修医が診療に従事した場合 等」と書かれています。

以上のことから、下記事項を遵守しなければならない事が解ります。

・臨床研修に専念すること。

・研修プログラムで定められている病院以外で診療をしないこと。

言い換えると臨床研修に専念でき、臨床研修病院以外で診療しなければ、厚生労働省は指導の根拠を失うことになります。

 

したがって、医療法人から非常勤報酬をもらうことは臨床研修のアルバイト禁止には違反していないと私は解釈しています。非常勤報酬なので勤務実態はなく臨床研修に全く影響がありませんし、医療法人で診療に従事する訳ではないからです。

 

 

これは非常に参考になる内容だと思いますので、医療法人を運営されている方は是非、参考にしてください。

 

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

専務取締役 林 健太郎

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