COLUMN

事業承継に関する調査から

エヌエヌ生命が中小企業経営者500名とその家族500名に対して行った「事業承継に関する調査」をホームページ上で公開しています。

 

※エヌエヌ生命リリース

この調査結果は、日ごろ現場で経営者のご相談に応じる中で感じている印象と近いものがありました。

 

 

この調査結果を細かく見て行きます・・・

 

事業承継をさせたい方の1位は親族である取締役・役員ですが、2位は「任せられるものがいない」と「親族でない取締役・役員」が同率でした。

1位はともかくとして2位が同率なのはうなずけます。

次に事業承継に関する話し合いの有無については、

話し合った事がある:49.5%
話し合った事がない:50.5%

という非常に微妙な結果です。

 

 

個人的には思ったよりしっかりと話し合いをされいるという印象です。もっと話し合った事がない方が多いのかと思っておりました。

そして興味深いのは事業承継に関する話合いで、もっとも重要な内容は

1位:経営者としての思い・会社のビジョン

2位:財務

という内容でした。

 

事業承継において想いやビジョンといった「理念の承継」が最優先事項です。これが1位なのは当然ですが、2位に財務が来ている点は財務状況に不安を抱えている中小企業が多いのが実状でしょうか??

 

やはり事業運営上、適正な流動資産(特に現預金)が必要な事は間違いありませんから、後継者と生々しい話をしている事が想像出来ます。

 

そして面白いのが、経営者が抱える事業承継に対する不安度が一番高い事業承継相手は、「親族である従業員」でした。

役員にしていない親族従業員を後継者とし希望している段階で複雑な事情を想像してしまいますが、この辺りに事業承継の困難さが垣間見れると思います。

 

なお実際に配偶者やご子息で経営に関与している割合は、配偶者が関与している割合は56.4%と高いものの、ご子息となると32.8%と一気に割合が下がっています。

「子供に関わらせたい」と思えるには、ある程度の将来性と財務内容が必要であり、その見通しがあまり良くない中小企業が多いことが、この調査結果が示しているのではないでしょうか?

 

最後に経営者の配偶者や子供からみた「相続財産として好ましい資産」の1位はやっぱり「現金預金」で、配偶者の2番目は「死亡保険金・死亡退職金」でした。なお子供の2位は「不動産」で「死亡保険金・死亡退職金」は5位でした。

 

特に配偶者から見た場合、その後の生活資金等を考慮して現預金や死亡保険金・死亡退職金を期待している事は事実のようです。

 

以上、調査結果を抜粋して見てきましたが、冒頭で書きました通り、現場で経営者からの相談に対応している感覚と非常に近しいものがあり、「やっぱりそうか」というのが感想です。

 

特に後継者がいないと悩んでおられる経営者のうち、大半が「継ぎたい会社」になっていないという実態があると思います。

 

将来性もあり、安定した経営が出来るだけの財務力があれば、「継ぎたい」と誰かが思うでしょうから、その瞬間に事業承継問題は完了したといます。

 

もっと言えば、親族や親族外の役員や従業員が「継ぎたい」と思える会社にする事が、事業承継問題の根幹の様に私は思っています。

 

少子化・高齢化の中で、市場が縮小していく展望で、銀行借入や役員借入が多額に残っている会社を「継ぎたい」と思う人がどれだけいるでしょうか?

 

さらに同業他社から「買いたい」「欲しい」と思える会社であれば、急な相続・事業承継が発生しても、株式を売却するという選択肢も生まれてきます。

 

そう考えますと、事業承継対策の根幹は継ぎたいと思える法人にする事ではないでしょうか?

 

そんな事を感じた調査結果でした・・・

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

 

相続・事業(医業)承継に関するご相談はお問い合わせよりお願い致します。

この記事に付いているタグ