COLUMN
リビングニーズ特約の注意点
<某保険会社のサイトより>
Q:リビング・ニーズ特約とは何ですか。
一見すると良い特約の様に思えますが、ちょっと厄介なのは実際に支払われるリビングニーズ保険金についてです。
各保険会社の約款を見ると、なかなか厄介な表現になっています。参考までに某社の約款を見ますと・・・
・特定状態保険金
(リビングニーズ特約)の金額は、次の支払金額とします。
特定状態保険金の金額ー
主契約の保険金額のうち、当社の定める範囲内で特定状態保険金の受取人が指定した金額ー
当会社が定めた方法で計算した特定状態保険金の請求日から6ヶ月間の指定保険金額に対応する利息および保険料に相当する額
・・・という表記があります。
これを分かりやすく表現すると、リビングニーズ特約で支払われる保険金は
支払保険金=3,000万円-(半年分保険料+保険料に対する利息)
ということになります。
※リビングニーズ特約の保険金は請求できる金額の上限は3,000万円が一般的ですが、保険会社によって異なりますのでご注意ください。
リビングニーズ保険金=3,000万円ではありません。ちなみに多くの保険会社の約款は上記内容となっています。この約款上の規定を見ていると、「6ヶ月分の保険料はどこへいった??」という疑問が出てきます。
10年定期とか収入保障保険ならまだ保険料が安いので気にならない額かも知れませんが、逓増定期で年間保険料が1,000万円を超える様な場合、控除される金額は数百万円になります・・・・
例えば年間保険料1,000万円の契約であれば、半年分の保険料である500万円と利息を差し引いて支払います・・・・この保険料はあくまでも「手数料」的な扱いですから、仮に6ヶ月以上、生きて次の保険料支払いが来てもこの6ヶ月分の保険料相当額は控除してくれません。
さらに約款上は、リビングニーズ特約で支払った保険金は、主契約の保険金額から消滅するとの記載が約款にはあります。
例えばリビングニーズ特約で3,000万円を請求し、約500万円が控除されて2,500万円弱が支払われた場合、消滅する保険金額は3,000万円なのか2,500万円弱なのか?という疑問です。これについては、リビングニーズ特約保険金の3,000万円を主契約から控除されます。
という事は、先ほどの例で言えば、リビングニーズ特約保険金で支払われたのは2,500万円なのに保険金額は3,000万円減少します。
特に法人保険で、保険料が高額になる逓増定期や長期平準定期、全損系の商品の場合には控除される金額が高額になるのでリビングニーズ特約は請求しない方が良いケースがありえます。個人契約でも、終身保険や養老保険など保険金額に対する保険金の割合が高額になればなるほど、リビングニーズ特約は請求しない方が良いかも知れません・・・
そもそもリビングニーズ特約は、某外資系生命保険会社が初めて開発した特約だそうですが、この特約ついて当時の大蔵省へ認可申請を行う際に、
「余命6ヶ月と診断された時点で保険金の一部を支払うので、先に6ヶ月分の保険料とその保険料に利息をつけた分を受領することにするので認可をしてほしい」
と申請をして認められ、その約款を各社がそのまま使っているのが所以との事を聞きました。
まぁ契約者・被保険者・受取人にとっては悪い制度ではないと思いますが、控除される金額がある事をキチンと把握をしていないと損をする可能性もあります。さらに前述の通り、法人契約で保険料が高額になる場合には、そもそもリビングニーズ特約保険金を請求しない方が良いケースもあるという事を覚えておくべきでしょうね・・・・
ちなみに・・・
確認をした保険会社各社の中で、とある保険会社だけが異なる回答をしました。それは、リビングニーズ特約の保険金を支払う際の6ヶ月分の保険料に対する判定の違いです。
例えば、保険金額1億円、年間保険料1,000万円の契約があったとします。
この契約でリビングニーズ特約の保険金を上限3,000万円を請求した場合、多くの保険会社が6ヶ月分の保険料500万円を差し引いて2,500万円を支払うというルールです。
※利息は無視しています。
ところがこの保険会社は、保険金額1億円に対して3,000万円を支払うのではなく、支払われる保険金額と本来の保険金額の割合である30%を本来の保険料である1,000万円に掛けた300万円の保険料の6ヶ月分、150万円しか差し引かないという規定だそうです・・・・
ということはこの保険会社の場合、3,000万円-150万円なので2,850万円が支払われます。
同じ条件でも2,500万円しか支払われない会社と、2,850万円を支払ってくれる保険会社がありますのでご留意くださいませ。
<文責>
株式会社FPイノベーション
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