COLUMN

事業承継とリタイアメントの違い

先日、とあるお客様のところへ同行して頂いた公認会計士の先生が非常に「刺さるお言葉」をおっしゃっておられました。

 

それは、「事業承継とリタイアは違う」経営者におっしゃっておられ、個人的には非常に共感出来ましたし、経営者も腕組みをして真剣に考えこまれていました・・・。



以前に本コラム、「社長退職金を考える」にて書きましたが、

退職金を取る事で、経営が不安定な状況になってしまっては元も子もなくなります。そのために、社長が事業を譲る際、ならびにリタイア(勇退)を検討する際は両者をわけて考えるべき内容です。

 

そもそも事業承継は、「会社の経営を後継者へ引き継ぐこと」と定義付けが出来ます。

 

そしてリタイアとは「引退・勇退すること」定義付けが出来ます。

 

まず事業承継ですが、ここで考えなければならないのは、経営を引き継ぐという漠然とした表現ではなく、「何を引き継ぐのか?」という事です。

 

後継者へ引き継ぐものとして考えられるのは、

〇株式の全部又は一部

〇代表取締役としての業務執行権の全部又は一部

〇築き上げてきた事業(ビジネスモデル・顧客・のれん等各種権利)の全部又は一部

の3つが主なものとして挙げられます。

 

これらのうち、何を後継者に引き継がせるのか?それともすべてを引き継がせるのか?によって取るべき準備が異なってきます。

 

次にリタイアですが、何から「引退・退職」するのか?によっても異なってきます。

〇法人の代表者から「引退・退職」するのか?

〇株主の地位を「引退・退職」するのか?

〇ビジネスパーソンとして、働くことから「引退・退職」するのか?

〇上記の全てまたは一部から「引退・退職」するのか?

と、それぞれによって異なりますし、経営者個人の資産背景や個人キャッシュフロー、家族構成などによっても異なってきます。

 

こうやって事業承継とリタイアを列記するとお分かりでしょうが、後継者へ承継することと、現経営者がリタイアする事は全く別物です。

 

一旦、株式や事業体を後継者へ引き継がせた後でも、経営者が元気でやる気があれば別事業体で事業を行う事も可能です。さらに言えば、法人は承継させず事業だけを後継者が作った新会社へ引き継がせる事も可能です。

 

どの組合せでどのような方法がベストかどうか?は経営者の考えや希望によって方向性が決まります。

 

具体的に経営者とお話しているとこの辺りが見えてきます。

「何をお渡ししたいのですか?」
「お渡しする時期はいつ頃を考えておられますか?」
「お渡しになられた後、ご自身は何をされたいのですか?」
「その際、金銭的に幾らくらいのお金があれば良いですか?」

この4つの質問をする事で、「いつ」「だれに」「なにを」「どのように」「いくらで」渡すのか?

 

そして渡した後、経営者は何がしたいのかを浮きぼりにする事が出来ます。

 

これを明確にした上で、経営者の意向に沿えるように株式や出資金の評価対策などを行い、経営者の金銭的な希望を叶えるために何をどうやって準備するか?が見えてきます。

 

あくまでも役員退職金は経営者の金銭的な希望を満たす1つの手段でしかなく、これがすべてではありません。さらに言えば、事業を安定的に継続させるためには後継者が経営する際に、ある程度の預貯金残高がないと安定感を欠く事になりますので、財務状況は注視する必要があります。

 

その上で、金銭的な希望をどうやって叶えるのか?その準備をどうするのか?そしてすべてが完了するまでに先に経営者に万が一の事があればどうするのか?

この辺りを俯瞰して事業承継とリタイアは考える必要があります。

 

こちらの記事も合わせてご確認下さい。

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

 

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