COLUMN
福利厚生における保険活用法
保険商品を活用した福利厚生制度を導入している中小企業は多いですが、今回はそもそもの「福利厚生制度」について確認をします。
そもそも「福利厚生」とはどういうものなんでしょうか?
Wikipediaを見てみると以下の様な記載がありました。
福利厚生
(ふくりこうせい、employee benefits)とは、企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬である。また多くの場合、企業の福利厚生の対象は従業員のみならず、その配偶者や家族、あるいはかつて従業員だった者にまで及ぶことがある。
福利厚生の目的は、従業員の経済的保障を手厚くすることにより、従業員の組織貢献度を高めることである。また、勤労意欲や能率の向上を図るといった狙いもある。離職率の低下や労働力の定着を図るほか、採用活動でも福利厚生の内容は注目される。
取り組みの内容は、法律により企業に実施が義務付けられる法定福利厚生と、企業が独自に定める法定外福利厚生とに大別される。特に法定外福利厚生は企業によって様々であり、一般的には潤沢な大企業のほうが充実した福利厚生が用意されているが、経費削減のため内容の見直しや、福利厚生サービスを専門にする企業へのアウトソーシングに切り替えることもある。また企業が準備した様々な福利厚生の中から、従業員が好きなものを選んで利用するというカフェテリア・プランを採用する企業も増えている。
福利厚生を労働費用の観点からみると、労働費用総額の構成は、「現金給与」部分と「現金給与以外の労働費用」から成っていて、現金給与以外の労働費用は、法定福利費、法定外福利費と退職給付等の費用の三つによって構成される。
(引用終わり)
言葉の定義的には、
「通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬」
が福利厚生であるということです。
そしてこの福利厚生をする目的は、中小零細企業の場合には経営者が従業員にしてあげたいから、という理由が多い様にも思いますが、ロイヤルティ(忠誠)を高めて組織への貢献度合いを高めさせることを狙って行っているケースが多いと思います。
もう少し戦略的に良い人材を確保・定着させるために従業員への福利厚生を充実させているという企業も多いと思います。
実際に厚生労働省が発表しています「就労条件総合調査」を見ていますとなかなか興味深いデータが出ています。直近では平成28年度の調査分が公表されていますが、このデータを拾ってみます。
〇常用労働者1人1ケ月あたりの法定外福利費の平均額
1000人以上:6,528円
300人~999人:5,858円
100人~299人:4,963円
30人~99人:3,883円
〇上記のうち私的保険制度への拠出金平均額
1000人以上:386円
300人~999人:346円
100人~299人:463円
30人~99人:1,102円
なんと企業規模が30人~99人の企業は1000人以上の企業の3倍以上の費用を私的保険制度へ使っています。
ちなみに法定外福利費で一番多く割合となっている項目は企業規模で見事に特長が出ます。
1000人以上:住居費55.2%
300人~999人:住居費51.3%
100人~299人:住居費39.8%
30人~99人:私的保険制度28.4%
100人以上の企業においては、住居費の補助が一番多いですが、99人以下は保険加入が一番多いというのも何となく頷けます。比較的導入がしやすいのが私的保険による福利厚生制度なので、採用されているケースが多いという事でしょう。
実際に住居費の補助となると、それなりに負担も大きくなりますし、保険制度とは違い、企業側でコントロールがし難いので、コストを見直す際には手が付けにくいという側面もあるのではないでしょうか?
上場企業や大手企業は、かなり手厚い福利厚生制度が用意することで良い人材を集めている実態もあると思います。これに対抗すべく中堅・中小零細企業も費用対効果と従業員満足が高い福利厚生制度を模索しているのが実態ではないでしょうか・・・
こうやって考えてみますと、福利厚生制度というのはあくまでも従業員満足を高め、より良い組織運営をするために行うモノであることがよくお分かり頂けると思います。課税繰延効果だけに着目したような生命保険契約は福利厚生制度とは呼べません。
経営戦略・人事戦略の一環として福利厚生制度を検討して頂き、上手に保険商品を活用して頂きたいものです。福利厚生制度としてインパクトのある保険活用法は幾つかあります。
代表的なものとしては、GLTD(団体長期障害所得補償保険)を活用した休業補償制度です。GLTDについての詳細は下記コラムをご参照下さい。
GLTD制度が比較的規模の大きな企業向けの制度に対し、中小企業で多く導入されているのが、医療保険やがん保険といったいわゆる「第三分野保険」を全員に付保をして保障を提供する活用法です。
この制度を導入することで、個人における保障負担額を減らすことも可能ですので、源泉所得税や社会保険料負担を増やすことなく実質的な昇給効果が得られます。上手く保険商品を活用すれば可能な制度ですので、人事戦略において有効な一手となります。
保険商品を人事戦略に活かす活用法が上記以外にもございますので、ご興味のある方はお気軽に弊社へご相談下さい。
<文責>
株式会社FPイノベーション
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